大丈夫!?そのHYIP案件が詐欺かどうかの見分け方【経験談】

Bitcoin Btc Cryptocurrency Money  - vjkombajn / Pixabay
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

始めに

みなさんはHYIPという言葉を知っていますか?

High-yield investment programの略で、日本語では「高利回り投資プログラム」という意味です。

短期間で高配当を出す投資案件で、一般的にハイリスクハイリターンであり、詐欺案件と相性が良いことも忘れてはならない特徴です。

2020年8月中旬にHYIP案件を友人に紹介され、既に友人数人もやっていて実際に利益が出ているという事で、特に深くは考えずに余剰資金である数十万円を使って始めました。

始めて一ヶ月ほど経った時、順調にお金が増えていたため別の友人に勧めてみようと思い、その時に初めて自主的にこのHYIPについて調べ、紹介してくれた友人にも確認を取りながら、理解を深めました。

結果、あまりにタチの悪いギャンブルであると確信し、2020年9月中旬すぐに完全撤退しました。そのため、損害はなく済みました。

ここでは、私がそのHYIP案件をやめるに至った経緯・考察と得た知識を共有し、みなさんの今後の判断材料になればと思います。

私が手を出したHYIPは、、

私が一ヶ月間お金を預けていたHYIP案件はPGA(プランスゴールドアービトラージ)というものです。

中国資本の会社で2020/5/23にグランドオープン。仮想通貨の三角アービトラージを利用したシステムを使って高利回りを実現していると謳っています。
2020/10/1からは先物取引のアービトラージによる運用を開始しています。

アービトラージとは、、、

裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。機関投資家などが、リスクを低くしながら利ざやを稼ぐ際に利用する手法です。

https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/sa/J0288.html

PGAの特徴

PGAにはHYIP案件ならではの要素が何点かあります。その特徴は主に以下の通りです。

月利15%以上

Money Dollar Cash Bills Finance  - susan-lu4esm / Pixabay

月利15%と聞くと、ご自身で投資経験のある方は、いかにとんでもない数字か分かるかもしれません。

世界中の投資家から尊敬を集める投資の神様ウォーレン・バフェットは1万ドルの元手を800億ドル以上の資産に成長させました。

これは、平均すれば年利20%、月利1.6%、日利0.05%程度です。投資の神様でこの数字だということは頭に入れて置く必要があります。

又、PGAでは複利運用が可能になっています。複利運用とは、得た利益をさらに資金に追加することで生み出す利益が少しづつ増えていく運用方法で、長期投資において特に効果を発揮します。

月利15%以上の利回りと複利運用を使って、PGAでは莫大な利益を生み出すことを可能にし、実際に億り人と呼ばれるような人も出ていると宣伝しています。

仮想通貨の三角アービトラージ

PGAでは仮想通貨三角アービトラージによる運用を謳っています。

この三角アービトラージというのは図のように、同一取引所内で仮想通貨の交換を二度行い、最初の通貨に戻した時に、利益が少し生まれるような取引をすることを言います。

このようなペアは実際に存在していますが、安定的に利益を生み出し続けることはかなり難しく、PGAではプログラムを利用した高速運用により莫大な利益を実現をしているらしいです。

HYIPと仮想通貨は相性がよく、一般的な金融機関を介す必要がない仮想通貨は運営側としても都合が良いです。
また、一時期の仮想通貨バブルにより「億り人」と呼ばれる人たちが生まれたため、本当にありそう、と手を出す側が思いやすいのも事実でしょう。

最近のHYIPでは、アービトラージAIプログラム自動運用システム、といった曖昧な表現を利用した、なんだか凄そう、という言葉を使うものが非常に多いです。

MLM (マルチレベルマーケティング)

PGAでは、アービトラージによる運用利回り以外に、紹介報酬を出しています。

正確にはアービトラージによって得た利益を、運営に30%配当に30%紹介報酬に40%の割合で分配するようです。

PGAでは、この紹介報酬の仕組みにMLM(マルチレベルマーケティング)を利用していました。

マルチ商法やネットワークビジネスとも呼ばれています。

商品やサービスを契約して販売組織に加入した上で、次は自分が友人等を勧誘して新たに加入させると、紹介料やマージン等の利益を得ることができ、これが連鎖的に拡大していくしくみです。

http://www.pref.kyoto.jp/shohi/news/general/2012/5/1337064511404.html

これだけ読むと、ネズミ講!!、と思われる方もいるかもしれませんが、MLMはネズミ講ではありません。

ネズミ講は正式名を無限連鎖講と言い、紹介報酬の連鎖の数に制限がありません。システムとして破綻しているため、違法となっています。

PGAの紹介報酬例

PGAでは、このMLMによる報酬を上図のように紹介人数と投入資金額によって段階分けしており、紹介人数を多く出し、さらに資金を多く投じていれば高い利率で配当を受け取れるHYIP案件になっていました。

ここで、一つ忘れてはいけないのが、MLMを人に紹介し勧誘する際には、法律上の規定があるということです。

PGAでは、紹介報酬制度のことをアフィリエイト報酬と呼んでいたため、MLMと認識せずに勧誘している人が多く、無法地帯となっていました。

私の友人は、「良い儲け話があることを教えてあげたい」という気持ちもあったのでしょうが、この紹介報酬目当てで私だけでなく家族や恋人を含む多くの知人に紹介していたのでしょう。

元本ロック無し

Bank Billionaire Bills Box Brown  - Shutterbug75 / Pixabay

投資詐欺の特徴の一つとして、「元本保証」を謳う、というのが挙げられます。

投資する人は当然リスクを嫌いますから、掛け値が全て帰ってくるということはとても美味い話な訳です。

しかし、元本が保証される投資はありません。投資にはリスクがつきものです。投資の利益の出し方の基本的な考えの一つは、「本来の価値より低い時に商品を手に入れる」です。このことは、価値を見誤った場合に投資した金額を失うリスクがあることを意味しています。よって、元本保証を謳った時点で詐欺だと断定しても良いでしょう。

PGAでは、元本保証は謳っていません。

「元本ロック無し」という言葉の意味は、元本をいつでも引き出せます、ということです。

PGAと兄弟関係のようなHYIP案件にジュビリーエースというものがあるのですが、こちらは元本がロックされるものだったため、差別化を図るためにこれを強く推していたのだと思われます。

HYIP案件を始める際には投入資金を引き出す時のことを既にイメージしておく必要があるでしょう。

PGAの現在(2020/10/14時点)

Stop Shield Traffic Sign Road Sign  - knerri61 / Pixabay

現在、PGAは状況から見て出金停止となっています。

2020/10/1に先物取引のアービトラージを利用した新しい運用システムが開始される予定だったはずが突如出金ができないという騒ぎがあり、それに合わせてPGA運営側から「中国の祝日に合わせて休みを取るため10/15まで出金できない」という旨の連絡がありました。

10/1までの間、なぜ「出金できなくなる」ことに関する連絡がなく、後から連絡があったのかについては様々な考え方がありますが、その期間にもサイトやシステムのアップデートは行われているため、運営会社自体は稼働しているはずで、不可解と言わざるを得ません。。

追記(2020/10/18)

現在、PGAは2021年初頭まで、出金不可となっています。

CEOのアンドレ・ジェラルド氏が俳優だった、MLMトップ層はお互いの素性を全く把握していない、など様々な内情が明るみに出始めています。
「全てが虚像である」という事実がより一層浮き彫りになっている、と言って良いでしょう。

詐欺か否かの見分け方

Hacking Cyber Blackandwhite Crime  - iAmMrRob / Pixabay

PGA同様、全てのHYIP案件は市場の原理からするとあり得ないレベルの利率を謳っています。そのため、主に以下の仕組みによって成り立っています。

  • ネズミ講
  • MLM (マルチレベルマーケティング)
  • ポンジスキーム

この3点について理解し、自分が養分(騙し取られる側)にならないか、見極める必要があります。

ネズミ講でないか?

ネズミ講の仕組みを使ったHYIP案件は違法です。

前述の通り、ネズミ講は無限連鎖講と言い、紹介報酬の段階付けが無限に連鎖しています。

あなたがやろうとしているHYIP案件に紹介報酬制度があれば、何人下のレベルまでの報酬を受け取ることが出来るようになっているかしっかり確認するべきでしょう。

違法なMLMの勧誘をしていないか?

ネズミ講は違法ですが、MLMは違法ではありません。

しかし、特定商取引に関する法律で、勧誘の際の規律が定められています。

統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。

特定商取引に関する法律33条の2

要約すると、勧誘の際には以下の3点を予め伝えなければいけないとなっています。

  • リーダー(統括者)や勧誘する自身の名前
  • MLMの勧誘をしようとしていること
  • 商品・サービスの種類

これらが守られていないHYIP案件は法律に抵触しています

いくら友人・知人からの紹介であったとしてもこれらが守られていなければ、アムウェイなどのような大きな組織と違い、制度化が十分に進んでおらず、信頼性はかなり低いといって良いでしょう。

また、投資系MLMは紹介者が商品の内容を殆ど理解しておらず、セミナー等への参加を勧められる場合もあると思いますが、MLMの場合、末端の新規参入者が大きな利益を生み出すことはかなり困難です。自ら積極的に知識を得て、詐欺かもしれない、という危機感を持って行動しましょう。

ポンジスキームではないか?

HYIP案件で最も多い詐欺手法がこのポンジスキームというものを利用した詐欺です。

ポンジスキームをwikiで参照しました。

「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金を、以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用によって利益が生まれ、その利益を出資者に配当しているかのように装うもののこと。投資詐欺の一種に分類され、日本語で「自転車操業」と呼ぶような状態に陥り、最終的には破綻する。

wikipedia
チャールズ・ポンジ(wiki

詐欺師チャールズ・ポンジが1920年代に編み出したこの古典的なスキームは、今でも沢山の人が騙される代表的な詐欺手法です。

バーナード・L・マドフによって行われた史上最大級の巨額詐欺事件もポンジスキームを利用したもので、被害総額は約5兆円と言われ、スティーブン・スピルバーグ監督も被害に合いました。
HYIP案件というと「短期で飛ぶ」というイメージがあるかもしれませんが、この事件は30年以上もの間、詐欺として立証されませんでした。

この事件はロバート・デ・ニーロ主演で『ウィザード・オブ・ライズ』という題名で映画化されています。

この手法の厄介な点は、一部の人は配当を実際に受け取ることが出来るため、本当に運用されているかのように錯覚してしまうことです。

しかし、HYIP案件がポンジスキームであるかどうかは、実際に運用されているかを自分の目で全て確認しない限り、見抜くことができません。

セミナーや友人からの言葉を鵜呑みにしているだけでは、ポンジスキームに引っかかってしまう可能性があるのです。

そして、ポンジスキームによる詐欺だったとわかるのは、運営会社が資金を持ち逃げし、お金を失ったタイミング以外ありません

また、ポンジスキームでは自転車操業を続けるために、広く宣伝して沢山の出資者を募る必要があり、以下のような宣伝が行われていることが多いため、該当すれば注意する必要があります。

  • 有名人やセレブの名前を利用した宣伝
  • メディアを利用した大々的な広告
  • MLMによる口コミ
  • 世界各国での利用を謳った宣伝

私が経験したPGAの場合を絡めて説明していきます。

有名人やセレブの名前を利用した宣伝

PGAの場合は、GACKTメイウェザーという名前が「ここだけの話、、、」というような感じで挙げられていました。

投資の信頼性は有名人がやっているから、ということでは担保されません。

雨上がり決死隊の宮迫さんが参加し、問題になっていたパーティーもポンジスキームを利用した詐欺グループ主催のものでした。

宮迫さんの件は主宰者の見栄だと思いますが、前述のグループは自分たちの信用を高めるために有名人を利用していました。有名人が後押ししているとなれば信頼度が高まり、出資を迷っている人たちも金を出してくれるようになるからです。一方、参加する有名人たちは『事業関連のパーティー』としか聞かされていません

投資詐欺のパーティーで広告塔を務めた有名芸能人X

メディアを利用した大々的な広告

多くの今までのポンジスキームによる詐欺が、ウェブへの記事掲載マス広告を行っています。仮想通貨系のものでは都市部の駅にて大規模に宣伝されているものもあったようです。

ここでは、PGAの兄貴分であるジュビリーエースというHYIP案件のウェブ掲載の1例(Forbesindia)を見てみましょう。

いかにも最もらしいインタビュー記事が世界の有名経済史Foebesのインド版に掲載され、すごい!と錯覚してしまいそうですが、最後の行に注目すると、このような記載が、、、

これを和訳しますと、
免責事項:「ブランドコネクト」というページは広告と同等であり、フォーブスインディアのジャーナリストによって記述および作成されたものではありません。
ということで、内内で作ったインタビューの広告記事だったというオチです。

他にも沢山の広告形態がありますが、記事や広告はお金で買えることを忘れないようにしましょう。

MLMによる口コミ

口コミであなたの元に高い利回りの投資案件、おいし〜い話が運よく回ってきたら、その時点で投資系MLMの可能性が高いです。

ポンジスキームとMLMは、実際に配当が出ていることへの信頼性と、知人が紹介していることへの信頼性の二つが組み合わさり、「詐欺ではないだろう」と思い込んでしまうため(私のように、、、)、非常に相性が良いです。

また、従来のMLMと違い、投資系MLMは末端の人が損をする、という構造には見えづらいため、より注意が必要です。

そのHYIP案件が本当にMLMを使ってお金を集める必要があるのか冷静に考える必要があるでしょう。

PGAの場合、アービトラージをシステム運用することで利益を出すと謳っています。
もしそれが本当であれば、

  • コストのかかる大勢からの小口投資を投資経験の少ない主婦層や学生等から募る必要があるでしょうか?
  • 少額取引を高速で何度も行い利益を出しているのであれば、MLMによって得た大勢の出資者による莫大な資金は必要でしょうか?
  • 本当に良いシステムがあれば、エンジェル投資家や大手ヘッジファンドから大口の資金調達が可能なはずですが、何故できていないのでしょうか?

疑問点があれば見過ごさず、見つめ直す必要があるでしょう。

世界各国での利用を謳った宣伝

世界で運用されています!!
という言葉を鵜呑みにするのは危険です。

世界での運用を信頼性の担保に利用しているだけの可能性があるからです。

PGAの場合、「日本、韓国、中国、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、台湾、オーストラリアなど、全世界9カ国で総額1000億円以上もの取引」という風に謳われています。

しかし、実際はどうでしょうか?

Google TrendsというGoogleの機能(キーワードがどの地域で注目されているかを調べられる)を使ってみました。

2020/10/14時点

PGAを運用している会社名「prance gold holdings」で調べてみると、何故か日本以外の地域は、地域別のインタレストとして表示されません。
世界中で利用されているのでは、、、??

このように、キーワードのトレンド検索機能を使って確認するのも一つの方法です。

最後に

私は以上を総合的に判断して、PGAというHYIP案件はポンジスキームを利用した詐欺の可能性が非常に高いと判断し、完全にやめました。

ここまで読んで、騙されるわけがない、やってみないとわからない、という方もいるでしょう。しかし、、

HYIP案件はとても魅力にある利率そのものが、釣り餌になっています。

私は、HYIPという言葉すら知らない情弱でした。

今回得た知識から、今後自らHYIP案件に手を出すことは無いです。

みなさんも詐欺かもしれないという視点を常に持って、冷静に判断してください。

詐欺の可能性がかなり高いと理解して始める場合は、知人を巻き込まないようにし、必ず余剰資金で運用するようにしましょう。

Youtubeでも経験談を話しています

最後まで読んでいただきありがとうございました。

みなさんが良い投資ライフを送れるよう願っております。

SNSのフォローと音楽の視聴をお待ちしています。。。。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す